インドでヨガ・瞑想修行に取り組んだとき、私にとって強烈なインパクトがあったのはマントラ瞑想との出あいでした。スピリチュアルなエネルギー溢れるアシュラムでの体験と、マントラ瞑想について。
もくじ
マントラ瞑想とは・インドでの瞑想体験記
マントラ瞑想について
マントラは、古代インドにルーツをもつと考えられる、神聖な響きをもつ言葉の数々。漢字では「真言」と表記され、真実を明らかにする秘密の言葉(呪文)といった意味になります。
何千年も語り継がれる伝統的なマントラは、バラモンやヒンドゥーの神々をたたえる内容。
瞑想の間、マントラを繰り返し唱え続けて聖なる響きへ集中することで神々の祝福を受けたり、高い精神性へ到達するといわれたりします。
(伝統的・修行的な瞑想では、極めて高い集中度でマントラへ「没入」し、無我の境地・悟りへ至るとも)
マントラ瞑想体験記・スピリチュアルな浄化作用?
アシュラムでの、ある早朝の瞑想ちゅうに私は、マントラの響きのなかで急に涙がとりとめもなく溢れてきて、自分でもびっくりしてしまったことがありました。
涙が出るときは通常、何か理由や前兆があると思っていたのですが、そのときは本当に何の脈絡もなく、突然蛇口が壊れたかのようにただハラハラと涙が流れだして、なかなか止まらず。でも、なんとも心地の良い涙だったのです。
聖なる響きによる浄化作用?と、大きな驚きと感動を覚えた体験は忘れられません。
現代的なマントラ瞑想
宗教的な信仰心とは別に、瞑想のためのツール(道具)としてマントラを使う瞑想法も世界的に人気があります。
現代では、「マントラ瞑想」というとき、必ずしも古代インド由来のマントラを意味しない場合が。
瞑想を行う人にとって大切な言葉を「マントラ」として、意識を集中するアンカー(固定材)の役割に使うという現代的なアプローチ。
『マントラ』という言葉の由来を紐解くと、「マン=心や思考・トラ=道具・運ぶもの」を意味するため、マントラの目的は、心をより良く開発する道具だと捉えられます。
あちこちへ駆け巡る散漫な思考をひとつのところへ集め、望む結果へ結びつける。そのための道具として機能する言葉なら、瞑想を行う人の母国語で、好きな言葉がマントラになり得る。
という考え方から、「マントラ=古代インドの言葉」という意味を超えて、マントラ=その人にとって大切な、基本的な信念を表す言葉だと解釈を広げて実践する例も、アメリカなどで見られます。
アファメーションなどの肯定的な言葉を繰り返す瞑想法が、取り組み方によっては一種のマントラ瞑想として扱われることも。
マントラに関するスティーブ・ジョブズ氏の名言
「焦点とシンプルさ」それは、私のマントラの1つでした。
とは、アップル創始者として有名なスティーブ・ジョブズ氏の言葉です。
圧倒的な人気ブランドとして支持される「アップル」の魅力といえば、不要なものは潔く削ぎ落とし、シンプルで無駄がない美しさ。
「焦点とシンプルさ」という言葉とイメージをマントラとして、日々、自身のなかで繰り返し続けた結果、
「シンプルで無駄のない美しさ」が魅力の大人気ブランドが、彼を通して生み出されたということです。
ちなみに、スティーブ・ジョブズ氏の言葉は、以下のように続いています。
背後に、とても瞑想的な色合いを感じる言葉ではないでしょうか。
マントラ瞑想について・おわりに
伝統的なマントラ瞑想をインドのアシュラムで習っていたある日、同じ部屋に東欧のヨガ講師の女性が参加していました。
瞑想の先生から、マントラを繰り返して唱えるよう指示されると彼女は、「キリスト教徒なので、インドの神を称えることはできない!」と。
インドの神様への信仰心を大きく持っていなくても、マントラの響きのパワフルさには私自身、大きな衝撃と感動を受け取っていたので、
「この場に参加しているのに、満喫しないなんて残念…」
とも思いつつ、信念に応じた行動は人それぞれ。ヨガ講師として、インドで学んだという「事実」を持ち帰りたい思いもわかります。
人生のなかで、何を信じ、どう行動して、どんな感情をたくさん味わいたいのか。
しみじみ考えさせられた印象的な出来事でした。
以上、今回はマントラ瞑想についてお伝えしました。
アファメーションや好きな言葉を、意識の焦点として使う瞑想法は、日常の合間でも短い時間で集中・リフレッシュしやすく、私も好んで行っている習慣です。
一人一人の瞑想は、きわめて個人的な体験。あなたにフィットする取り組み方に出あえますように!